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東京高等裁判所 昭和47年(ネ)2813号 判決

控訴人(附帯被控訴人)

中勘工業株式会社

右代表者

広田政雄

控訴人

鈴木三郎

控訴人

鈴木三枝子

右控訴人三名訴訟代理人

佐藤軍七郎

外一名

控訴人(附帯被控訴人)

中勘工業株式会社補助参加人

柴田金尾

右訴訟代理人

山上芳和

被控訴人(附帯控訴人)

株式会社金商

右代表者

重原龍八郎

右訴訟代理人

宇津泰親

主文

一  控訴人中勘工業株式会社(附帯被控訴人、以下「控訴会社」という。)の本件控訴を棄却する。

二  被控訴人(附帯控訴人、以下「被控訴人」という。)の控訴会社に対する附帯控訴及び請求の減縮に基づき、原判決中被控訴人の控訴会社に対する請求に関する部分を次のとおり変更する。

控訴会社は被控訴人に対し、別紙物件目録(一)記載の土地について、東京法務局足立出張所昭和四一年六月二三日受付第一八五九〇号をもつてなされた停止条件付所有権移転仮登記の本登記手続をせよ。

三  原判決中控訴人鈴木三郎、同鈴木三枝子の敗訴部分を取消す。

被控訴人の控訴人鈴木三郎、同鈴木三枝子に対する請求をいずれも棄却する。

四  第一、二審を通じ、訴訟費用は、被控訴人と控訴会社との間においては、被控訴人に生じた費用の二分の一を控訴会社の、その余は各自の負担とし、被控訴人と控訴人鈴木三郎、同鈴木三枝子との間においては全部被控訴人の負担とし、参加によつて生じた費用は控訴会社補助参加人の負担とする。

事実《省略》

理由

一請求原因1(金銭消費貸借契約の締結)、同2(抵当権設定契約及び代物弁済予約の締結、各登記の経由)、同3(本件貸付)はいずれも当事者間に争いがなく、被控訴人が控訴人らに対し、昭和四三年一月二三日の原審における第七回口頭弁論期日において本件代物弁済予約完結の意思表示をしたことは訴訟上明らかである。

二そこで、以下控訴人らの抗弁1ないし3について順次検討する。

1  抗弁1(一部弁済)について

被控訴人が被控訴人と控訴会社(債務者)、控訴人鈴木三郎、同鈴木三枝子(以上いずれも連帯保証人)との間で作成された東京法務局所属公証人宮脇信介作成昭和四一年第二二七六号金銭消費貸借契約公正証書による貸金四三〇〇万円の内金を請求債権として、昭和四二年一月二五日控訴会社の訴外荒牧に対する債権金一二三八万円について第一次転付命令を得、同命令が同月二七日訴外荒牧に送達されたこと、右転付命令の請求債権金一二三八万円が控訴人ら主張のとおり別表(二)の1ないし16の各再割引約束手形金、貸付金債権及びこれらに対する日歩八銭二厘の割合による遅延損害金のほか、同表17のとおり別表(一)の6の貸付金のうちの金六〇万円及びこれに対する同割合による遅延損害金とされていたことは当事者間に争いがない。控訴人らは、別表(二)の1ないし7、10ないし16の各再割引約束手形金債権の遅延損害金を約定利率と同じ日歩七銭又は八銭として計算すべきであると主張するが、〈証拠〉を総合すれば、被控訴人と控訴会社間の手形割引契約においては期限後の遅延損害金が日歩八銭二厘と定められていたものと認められ、右認定を左右する証拠はない。しかして、後記3、(2)において説示するとおり右転付命令所定の被転付債権は別表(三)記載の合計金四九八万円の貸付金債権の限度で存在を認められ、後記のとおり法定充当の規定に従つて、これを右転付命令の請求債権の弁済に充当すると、別表(二)の遅延損害金の全額、1ないし7、17の元金全額及び8の元金の一部が消滅することになるから、本件貸付金債権は右転付命令によつて別表(一)の6の元本中金六〇万円が弁済されたことになるものというべく、これを超えて控訴人らの一部弁済(金六九万四、四三四円)の主張を認めるに足りる証拠はない。

2  抗弁2(弁済の提供及び供託)について

本件代物弁済の予約が債権担保の目的でなされたいわゆる帰属清算型の担保契約であること、控訴会社の物上保証人である控訴人鈴木三郎が昭和四七年九月七日現在の控訴会社の被控訴人に対する残債務を合計金三九五九万二七六七円と計算し、第一次供託をなし、その後これを取戻して同月二五日現在の残債務合計金四〇〇七万七八〇八円を右同日供託(第二次供託)したことは当事者間に争いがないところ、控訴人らは右供託当時被控訴人が予め金銭による弁済の受領を拒否していたものとして、たとえ口頭の提供をしても受領拒否にあうことは極めて明らかであつたから、何らの提供なくして直ちに、また仮に提供を要するとしても口頭の提供を経て有効に供託をなしうると主張する。

しかしながら、右の第一次供託がなされたのは原審口頭弁論終結の直前であるところ、被控訴人が当時本件代物弁済予約が債権担保のための清算型のものであり、仮に本件物件の評価額と本訴請求債権額との間に差額が存するとすれば、本件物件の所有権を取得しその旨の登記を経由した後、これを換価処分又は評価し、差額を控訴人らに返還する義務を負うべきことを自認していたことは記録上明らかであり、被控訴人が代物弁済予約の完結に伴う本件物件の取得により本訴請求債権は既に決済されたとして右債権額以上の利益を得ることを意図していたものとはみられないこと、また本訴請求債権の額については、当時被控訴人と控訴人らの間には右1において検討した一部弁済の額に争いがあつただけで、被控訴人が過大な額を主張していたわけでもないことを考えると、代物弁済予約完結による所有権取得を主張し、本登記手続を訴求していることから、直ちに、当時被控訴人が債務の本旨に従つた現実の弁済の提供がなされてもその受領を拒否する態度をとつていたものとみることはできない。また、当審証人は「控訴会社代表者広田が昭和四七年九月四日か同月六日に被控訴人代表者重原に対し電話で全額を持参支払う旨申入れたところ受領を拒絶されたことを、同月七日供託直前に広田より聞知した」旨述べているが、同証人が控訴人らの代理人として提出した昭和四七年九月九日付け準備書面(弁済供託の主張を追加したもの)には、右の事実につき全く触れていないことに照らすと、たやすく前記証書を信用できず、他に被控訴人が予め受領を拒否していたことを認めるに足りる証拠はない。したがつて、控訴人らとしては、本訴請求債権を弁済して本件物件を受戻すには先ず現実の提供をなすべきであつたのであり、右現実の提供に対し被控訴人の受領拒否があつたときに初めて有効に供託をなしえたものといわなければならないから、控訴人らの第一次又は第二次供託による本訴請求債権消滅の主張はその余の点について判断するまでもなく採用できない。

3  抗弁3(相殺)について

(1)  被控訴人が前記1認定の金銭消費貸借契約公正証書による貸金四三〇〇万円の内金を請求債権として、控訴人鈴木三郎が国に対して有する第二次供託金の取戻請求権につき第二次転付命令二件を得、前者が昭和四七年一一月二二日、後者が同年一二月一日第三債務者に送達されたこと、被控訴人が昭和四八年四月二八日右に基づき第二次供託金四〇〇七万七八〇八円全額の取戻を受けたことはいずれも当事者間に争いがない。

(2)  そこで、第二次転付命令二件のうち前者が二重転付であることを理由とする不当利得の主張について検討する。

(イ) 被控訴人が既に昭和四二年一月二五日控訴会社の訴外荒牧に対する債権につき第一次転付命令を得ており、右命令所定の被転付債権が控訴会社と訴外荒牧間の昭和四一年五月一四日付け元本極度額五〇〇〇万円とする手形割引及び消費貸借による根抵当権設定契約に基づく債権合計金一二三八万円であること、第二次転付命令のうち前者の請求債権の元金が第一次転付命令のそれ(別表(二)の1ないし17)と同一のものであること、そして第一次転付命令当時控訴会社が右根抵当権設定契約に基づく債権として訴外荒牧に対し別表(三)記載のとおりの九口の貸付金債権合計金四九八万円を有しており、右が有効に転付されたことは当事者間に争いがない。

ところで、控訴人らは、控訴会社の訴外荒牧に対する債権として、右貸付金債権のほかに、右根抵当権設定契約にあたり訴外荒牧が控訴会社に対し、現在又は将来控訴会社が割引き所持する訴外村山物産株式会社、同株式会社大和製作所、同東商金属株式会社各振出の約束手形について、それが不渡りとなつた場合、その手形債務は引受けることを特約し、その頃右の趣旨で訴外荒牧が乙第二〇ないし第九二号証を含む約束手形八九通に共同振出人として記名捺印し、もつて右各振出人の控訴会社に対する手形債務を引受けたことによる債権合計金三四三七万円が存在し、これが転付されたと主張するところ、〈証拠〉を総合すれば、金融業を営む控訴会社は、昭和四一年五月中旬当時訴外村山物産株式会社(以下「訴外村山物産」という。)、同株式会社大和製作所(以下「訴外大和製作所」という。)から割引いた期日未到来の約束手形多数を所持していたが、同月一二日訴外大和製作所が、次いで同月一六日同訴外会社に対し訴外荒牧の仲介により融通手形を振出していた訴外村山物産が手形不渡りを出し、控訴会社が所持する訴外村山物産振出の約束手形五九通、訴外大和製作所振出の約束手形一四通もその後不渡りとなつたこと、控訴会社の代表者広田政雄と金融業を営む訴外宝産業株式会社の代表者であつた訴外荒牧とは古くから親しい友人関係にあり、控訴会社と同訴外人との間には以前から控訴会社が同訴外人の仲介により第三者の手形を割引き、同訴外人は割引料の一部を手数料として取得するなどの形で密接な金融取引があつたものであるが、昭和四一年五月一四日両者の間に元本極度額を金五〇〇〇万円として前記根抵当権設定契約が締結されたこと、控訴会社は右乙第二〇ないし第九二号証の各約束手形が不渡りとなつた頃、右各手形の振出人の記名押印の横に訴外荒牧からかねて預つていた同訴外人の記名用のゴム印及び印鑑を押捺したが、これについてはその都度同訴外人の承諾を得たものでないことが認められ、以上の認定に反する証拠はない。〈証拠〉によれば、控訴会社と訴外荒牧との間には、かねてから同訴外人は第三者の手形の割引を仲介するにあたり手形面に裏書をしないが、仲介した手形が万一不渡りとなつた場合、仲介者としての責任上善処する旨の了解があつたことはこれを認めることができるけれども、その了解が、荒牧が割引を仲介した手形について自ら当該手形債務を引受ける趣旨であり、同訴外人が控訴会社に同訴外人の記名用のゴム印等を預けたのも、これを用いて共同振出人としての記名押印を顕出させることを委ね、これにより振出人ないし保証人としての手形上の責任を負担し、あるいは手形債務と同額の債務を引受けることを一般的に承諾していた趣旨であることについては、これにそう〈証拠〉はにわかに採用し難く、他にこれを認めるに足りる証拠は存しない。また前記根抵当権設定契約にあたり、控訴人ら主張の手形債務引受の特約がなされたことを認めるに足りる証拠もない。〈証拠〉は、これに記載されている金五〇二九万五八一九円の貸借の内訳が不明であつて、〈証拠〉に照らし、控訴人らの主張事実を肯認する証拠とするに足りない。しかして、〈証拠〉によれば、前記訴外村山物産振出の約束手形五九通は、いずれも同訴外会社が直接控訴会社に依頼して割引を受けたものであつて、訴外荒牧が割引を仲介したものではないと認められ、〈証拠〉中右認定に反する部分は採用できず、他に右認定を左右する証拠はないから、この点で控訴人らの主張は既に失当であり、また、前記訴外大和製作所振出の約束手形一四通については、なるほど前記甲第六五号証、甲第七八号証によれば、同訴外会社が訴外荒牧を介して控訴会社より割引を受けた際交付したものであると認められるけれども、右に説示したところからすれば、右各手形になされた訴外荒牧の記名押印が同訴外人の意思に基づくものとして、同訴外人が控訴会社に対し手形上の債務ないし手形金額と同額の債務を負うものとは認め難いというべきである。

(ロ) 以上のとおり第一次転付命令所定の被転付債権は前記貸付金債権合計金四九八万円の限度においてしかその存在を認められないというべきところ、右債権が有効に転付されたことによる被控訴人の不当利得の額について検討するに、右債権は第一次転付命令が第三債務者に送達された昭和四二年一月二七日に別表(二)のとおりの第一次転付命令の請求債権の弁済に充当されたものというべく、その充当関係につき特段の主張立証はないから、法定充当により先ず右請求債権中の右同日までの遅延損害金合計金八一万七三八四円、次いで元金については弁済期の早いものから順次別表(二)の1ないし7、17の元金全額及び8の元金の一部五五万二六一六円に充当され、右同日現在の右請求債権の元金は別表(二)中8が金二四四万七三八四円、9ないし16がそのまま残存し、合計金七四〇万四三八四円となる。そして右残元金に対する昭和四二年一月二七日の翌日から第二次転付命令二件のうちの前者が第三債務者に送達された昭和四七年一一月二二日までの二一二六日間の日歩八銭二厘の割合による遅延損害金は一二九〇万八二一〇円(円以下切捨て)であるから、同日現在の第一次転付命令の請求債権の元利合計は金二〇三一万二五九四円であつたことになる。しかるに被控訴人は第一次転付命令と同一の元金について元利合計金三二四六万四〇〇四円を請求債権として右第二次転付命令を得、同額の供託金取戻請求権の転付を受けたわけであるから、右両者の差額金一二一五万一四一〇円が法律上の原因に基づかない不当利得であるというべきである。

(ハ) よつて、控訴人らの第二次転付命令二件のうち前者が二重転付であることを理由とする不当利得の主張は、金一二一五万一四一〇円の限度でこれを認めることができ、その余は認めることができないといわなければならない。

(3)  次に、第二次転付命令二件のうち後者の請求債権の不存在を理由とする不当利得の主張について検討するに、〈証拠〉によれば、右転付命令には請求債権として前記公正証書の執行力ある正本に基づく貸金四三〇〇万円の内金七六一万三八〇四円と表示されているのみであるところ、被控訴人は昭和四七年一一月二八日訴外季樹楓から同訴外人の控訴会社に対する裁判上の和解による為替手形金債権金二三五〇万円のうち金七六一万三八〇四円を譲り受けたことが認められ、弁論の全趣旨によれば、被控訴人は右譲受債権を右公正証書に基づく債権として前記転付命令を得たものと推認され、右認定を左右する証拠はない。ところで、〈証拠〉によれば、右公正証書(昭和四一年一〇月一日作成)には、同年六月一五日被控訴人が控訴会社に対し金四三〇〇万円を貸付け、控訴会社は右債務を同年一〇月一日限り弁済する旨及び控訴人鈴木三郎は右債務を連帯保証する旨が記載されているところ、〈証拠〉によれば、右公正証書記載の日に金四三〇〇万円の貸付が行われたわけではなく、右公正証書は、被控訴人が右の日に控訴会社に対し限度額を金四三〇〇万円として貸付を行うことを約し、これによる債権の確保を図る趣旨で作成されたものであることが認められ、前記認定の被控訴人が前記転付命令の請求債権としたような控訴会社に対する第三者の手形金債権を被控訴人において約六年も経た後に控訴会社と全く無関係に譲り受けたものまで右公正証書に表示された金四三〇〇万円の債権のうちに含まれるものと解すべき理由はないというべきである。

したがつて、第二次転付命令二件のうちの後者の請求債権は存在しないものというべく、右転付命令によつて被控訴人が取得した供託金取戻請求権金七六一万三八〇四円は法律上の原因に基づかない不当利得であるといわなければならない。

(4)  なお、控訴人らは、第二次転付命令の被転付債権である供託金取戻請求権は民法四九六条二項の適用によりもはや消滅したものであり、転付命令によつてこれを取得できない筋合いのものであつたとして、第二次転付命令の無効による不当利得を主張するが、右主張は第二次供託が有効であることを前提とするものであり、それが有効と認められないことは先に2において判示したとおりであるから、この点において既に理由のないことが明らかである。そして、この理は、再々抗弁1(2)の前提とする転付命令無効の主張についても同様である。

(5)  以上説示したとおり控訴人ら主張の第二次転付命令による被控訴人の不当利得は、右(2)において認定した金一二一五万一四一〇円、右(3)において認定した金七六一万三八〇四円の限度においてのみこれを認めることができるというべきところ、〈証拠〉を総合すれば、控訴人鈴木三郎は控訴会社の本件債務の物上保証人であるとともにその連帯保証人であることが認められるところ、控訴人鈴木三郎が昭和四九年二月二二日の当審第二回準備手続期日において被控訴人に対して有する不当利得返還請求権をもつて被控訴人の控訴会社に対する本訴請求債権とその対当額で相殺する旨の意思表示をなしたことは訴訟上明らかであり、右両債権の相殺適状の時期は、右不当利得返還請求権が期限の定めのない債権として成立した時、すなわち第二次転付命令が第三債務者に送達された時と解されるから、右金一二一五万一四一〇円については昭和四七年一一月二二日、右金七六一万三八〇四円については同年一二月一日である。しかして、控訴人鈴木三郎は右相殺の意思表示にあたり特に充当の指定をしていないから、法定充当の規定に従つて、先ず別表(一)記載の順序で各貸付金の昭和四七年一一月二二日現在の遅延損害金合計金二六三六万二六七二円(別表(九)中(1)欄記載のとおり)につき金一二一五万一四一〇円の相殺充当を行うと、金一四二一万一二六二円の残となり、次いで同年一二月一日現在の遅延損害金合計金一四三一万七五三四円(右の相殺残に同表中(2)欄記載の同年一一月二三日から同年一二月一日までの損害金合計金一〇万六二七二円を加えたもの)につき金七六一万三八〇四円の相殺充当を行うと、金六七〇万三七三〇円の残となる。

4  してみると、控訴人ら主張の抗弁1ないし3によつては本訴請求債権の全額が消滅したものとは認められないことが明らかである。

三そこで、進んで被控訴人のした代物弁済予約完結の効果につき、控訴人ら主張の差額清算金との同時履行の抗弁(抗弁4)及びこれに対する被控訴人の再抗弁を中心に検討することとする。

1  本件代物弁済の予約がいわゆる帰属清算型の担保契約であることは当事者間に争いがなく、したがつて本件土地建物の価額が本訴請求債権額を超えるときは、被控訴人において右物件の所有権を取得することにより本訴請求債権に対する優先弁済の目的を達するためには、その差額を控訴人らに支払うべく、控訴人らは、被控訴人の右差額清算金の支払と引換えにのみ本登記手続に応ずべき関係にあるものと解すべきところ、右清算の前提たる換価手続としてなされる目的物件の評価は、それを訴訟手続によつて行う以上は、本来、清算実行時に接着する最終事実審たる当審の口頭弁論終結時である昭和五一年七月二七日現在の時価によつてなされるべきものと解するのが、清算を必要とする趣旨に照らし、相当というべきである。

2  そして、前記二、3、(5)において説示した相殺充当の結果、右基準日における本件貸付金の遅延損害金の額は、計算上、昭和四七年一二月一日現在の前記相殺残金六七〇万三七三〇円に別表(九)中(3)欄記載の同月二日から右基準日までの損害金合計金一五七五万一八七二円を加えた金二二四五万五六〇二円となり、したがつて右基準日における本訴請求債権の額は、元金一四四〇万円と右遅延損害金との合計金三六八五万五六〇二円となる。

3  次に、本件土地建物の右基準時における価額について検討するに、鑑定人不動産鑑定士鐘ケ江晴夫は昭和四九年七月二〇日現在において別紙物件目録(一)記載の土地を金九六四七万五〇〇〇円(更地価額)、同目録(四)記載の土地を金三九四一万五〇〇〇円、同目録(五)記載の土地を金一五九三万六〇〇〇円、同目録(六)記載の土地を金二八七八万九〇〇〇円、同目録(七)記載の建物を金一〇七万五〇〇〇円と評価しており、一方〈証拠〉によれば、不動産鑑定士藤田貞夫は同年一一月八日現在の右土地建物の評価額を順次金八九三六万七一六八円(更地価格)、金二八三三万二〇〇〇円、金一一五二万九〇〇〇円、金二〇八二万七〇〇〇円、金二二〇万円と、〈証拠〉によれば、不動産鑑定士大河内一雄は同年一月一六日現在の別紙物件目録(一)記載の土地の評価額を金九五六三万円(更地価格)としていることが認められる。なお、その他に原審における前記鑑定人の鑑定の結果が存在するが、右はその評価時点が昭和四六年九月一四日であるので、当審口頭弁論終結時の時価を算定するための資料とはなし難いことが明らかである。

ところで、右大河内一雄の評価については、殆ど決定的な資料とされている取引事例の存在自体について証拠により疑問があること、評価にあたつての取引事例の収集方法、評価のなされた経緯等に照らし、これを採用すべきでないと判断するが、前記鐘ケ江鑑定及び藤田貞夫による評価については、そのいずれも特にこれを不当として排斥すべき事由は見出せない(右鑑定の結果については、〈証拠〉によれば、別紙物件目録(一)記載の土地の評価に当たり資料とされた近隣における取引事例について、その具体的内容、資料としての価値に異論の生ずる余地のないではない点がうかがわれるが、右鑑定は右の取引事例を評価額算出の決定的な資料としているわけではなく、他に地価公示価格、精通者意見等をも勘案して総合的に評価を行つているものであり、右の点をもつて右鑑定による評価を本件土地建物の評価額算定のための資料となしえないとすることは相当でない。)一方、そのいずれをもつて適正評価と認めるべきかもにわかに決し難いところであり、このような場合には、両者の評価額の平均値をもつて各物件の評価額とするのが最も客観的かつ適正な結果を得るゆえんであると解する。そして、昭和四九年下期以降においては地価がほぼ横ばいの傾向にあることは当裁判所に顕著な事実であるから、右両者の評価額の平均値、すなわち別紙物件目録(一)記載の土地については金九二九二万一〇八四円(なお、〈証拠〉によれば、右土地上にはかつて控訴会社所有の別紙物件目録(二)、(三)記載の各建物が存在したが、昭和五〇年五月頃右各建物は登記簿上の所有名義人キムラ開発株式会社の依頼により被控訴人がこれを取り毀し、右土地は現在更地になつていることを認めることができるので、その評価額としては右各評価中の前記更地価格を採用すべきである。〈証拠〉によれば、被控訴人が右取毀費用として金二八三万円を負担していることが認められ、前記鑑定、甲第五五号証の一においても、当時存在していた右各建物につきその評価額を老朽化等を理由に零とする一方、その解体撤去等の費用をそれぞれ金一三五万六〇〇〇円、金一六五万二〇〇〇円と算定し、これを更地価格から控除して建付地価格を算出しているが、右の被控訴人が負担した取毀費用については別途被控訴人と控訴会社との間で清算されるべき性質のものであり、右土地の評価にあたつてはあくまでも現状が更地であることを前提とすべく、建付地価格を採用すべきいわれはない。)、同目録(四)記載の土地については金三三八七万三五〇〇円、同目録(五)記載の土地については金一三七三万二五〇〇円、同目録(六)記載の土地については金二四八〇万八〇〇〇円、同目録(七)記載の建物については金一六三万七五〇〇円をもつて昭和四九年下期以降(同目録(一)記載の土地については前記のとおり更地となつた昭和五〇年五月以降)当審の口頭弁論終結時である昭和五一年七月二七日に至る間における適正評価額と認めるべきである。

4  ところで、債権者が同一債権担保のため数個の不動産につき代物弁済予約による担保権を有し、その実行として同一訴訟手続内で本登記手続を求め、全目的物件の取得による担保目的の達成を意図している場合には、特別の事情がない限り換価の基準時たる口頭弁論終結時における各不動産の価格の割合に応じて債権者の有する債権額を按分し、各不動産について本登記手続と引換えに給付すべき差額清算金の額を定めるのが相当である。

しかしながら、本件においては、前記のとおり、主たる債務者である控訴会社の所有に係る別紙物件目録(一)記載の土地が、昭和五〇年五月頃以降更地となり、その適正評価額は金九二九二万一〇八四円と認められるところ、本訴請求債権は口頭弁論終結時までの遅延損害金を合算しても金三六八五万五六〇二円となるにすぎず、右土地のみをもつてしても被担保債権たる本訴請求債権額の倍額をも遙かに上廻る。一方、同目録(四)ないし(七)記載の土地建物はいずれも連帯保証人たる控訴人両名の所有物件であり、しかも、原審における控訴人鈴木三枝子本人尋問の結果によれば、現に右控訴人らの生活の本拠ないしその隣接地であることが認められる。そして、右(一)記載の土地に関し、被控訴人にとつて、これを処分するにせよ使用するにせよ、とくに不都合となるような事情は証拠上認められない。

本訴提起時ないし原審口頭弁論終結時においてはともあれ、原判決が確定せず、現実の換価、清算が未了のまま当審において前叙のような事実関係の認められる事態となり、しかも、弁論の全趣旨に照らし、それが控訴人側のいわれなき不当抗争の結果とは断じえない以上、被控訴人において、なおも目的物件全部の換価処分を固執し、差額清算のうえでとはいえ、全物件を自己の所有に帰せしめようとすることは、担保の趣旨に照らし相当でなく、過剰競売を防止する目的に出た民事訴訟法六七五条、あるいは広く権利の濫用を禁止した民法一条三項の法意にももとるものというべきである。すなわち、右のような事態のもとにおいては、先ず主たる債務者の所有に属する前記目録(一)記載の土地に対する換価処分権の行使により被担保債権全額の満足をうけうべきことは明白であつて、かかる方法による優先弁済目的の達成を事実上困難にする特別の事由の認められない現段階において、右目録(一)記載の土地とともに同目録(四)ないし(七)記載の物件についてまで、換価処分権を行使して本登記手続を求めることは、前叙の理由から許されないところといわなければならない。

したがつて、被控訴人の請求にもかかわらず、本件は同一訴訟手続によつて全目的物件の換価をすべき場合にあたらないこととなるから、債権額の按分による各不動産についての清算金の算定をなすべき前提を欠き、被控訴人としては目録(一)記載の物件についてのみ換価処分権を行使しうべく、その評価額から被担保債権たる本訴請求債権の全額を差引いた残額についてのみ清算を了すれば足りることとなる。

5  ところで、原判決(昭和四七年一一月一八日言渡)は、控訴会社に対し、被控訴人から合計金一六八〇万九九一七円の支払を受けるのと引換えに別紙物件目録(一)記載の土地、同目録(二)、(三)記載の各建物の本登記手続を命じているところ、〈証拠〉によれば、原判決に対する控訴期間内である同月二四日、いずれも被転付債権を原判決により控訴会社が被控訴人に対して有する差額金返還請求権金一六八〇万九九一七円の内金と表示して、控訴会社の債権者訴外増田兼司(東京地方裁判所昭和四七年(ル)第四三二二号、同年(ヲ)第七一九一号)、同鈴木大(同裁判所同年(ル)第四三二三号、同年(ヲ)第七一九二号)、同丸田清登(同裁判所同年(ル)第四三二四号、同年(ヲ)第七一九三号)、同李樹楓(同裁判所同年(ル)第四三二五号、同年(ヲ)第七一九四号)のため債権差押及び転付命令(被転付債権合計金一六八〇万九九一七円)が発せられ、その頃被控訴人に送達されていることが認められ、被控訴人は、右各転付命令により控訴会社に対する差額清算金のうち右被転付債権額については控訴会社に対して支払義務を負わないこととなつたと主張する。

よつて検討するに、債権担保の目的に出た代物弁済予約に代表されるいわゆる仮登記担保権の帰属清算方式による実行過程において、債権者に前叙のとおり差額清算義務があるとされるのは、債権者がその目的物件の有する価値のうち債権額を超過する部分を保有すべきいわれはなく、清算をしないまま終局的に目的物件の所有権を債権者に取得させることは、担保の目的に照らして過ぎたるものを債権者に帰属させる結果となるからであり、債権者が所有権を取得し本登記を経由するために清算金の引換給付を強いられるのは、契約目的たる優先弁済の実現とそれに伴う清算を一挙に行うのが、権利の実質に則し、公平の観念に合致すると解されるからにほかならない。したがつて、債権者の予約完結により担保目的実現のための換価権行使の可能な段階に入つたからといつて、直ちに債務者に具体的金員の交付を求めうる清算金請求権が発生するわけではなく、債務者は、債権者の権利実行の遅滞により不利益を被るような特段の事情がある場合を除いては、債権者が換価処分の実行に着手するのを待ち、債権者が現実に本登記を経由し所有権を取得する段階において、それに協力するのと引換えに、無清算帰属による不当な権利状態の実現を未然に回避するため、当該時点における目的物件の時価を基準とした差額清算の実行を求めうるにとどまる。してみれば、仮登記担保権者への所有権移転前における清算金請求権なるものは、将来担保権者が目的物件の所有権を取得すると同時に発生し、かつ履行期にあることとなる債権として観念しうるにとどまり、これを公平の観点から担保権者の本登記手続や明渡の請求に対する引換給付の抗弁権の前提としてのみ主張することが認められるものにすぎず、もとよりその成否(債務者が被担保債権を弁済して仮登記担保権を消滅させれば、清算金請求権の発生する余地はない。)も、金額(担保権者の権利行使による所有権取得時期がいつになるかによつて、清算金額の基準となる目的物件の価額は当然に変動するし、その時点までは物件価額から差引かれるべき被担保債権の遅延損害金の発生も止まらない。)も、事前に決しうるものではない。それ故、かかる段階における清算金請求権は、券面額のある債権にあたらず、差押の対象とはなりえても、転付命令の対象となる適格はないものと解すべきである。

もつとも、右担保目的実現のための本登記手続が訴訟上請求され、引換えに債務者に支払われるべき清算金の額が口頭弁論終結時の時価を基準として判決をもつて定められた場合には、担保権者の本登記手続請求権の存在及びその履行と引換給付の関係に立つ清算金の額が確定されることとなるから、判決の確定後における清算金請求権の被転付適格を肯定することは可能である。しかし、判決、まして本件のように一審判決の言渡があつたにとどまる段階においては、判決が確定し、その宣するところに従つて換価、清算の実行がなされるべき関係はいまだ確立されておらず、現に本件控訴により原判決の確定は遮断され、原審の口頭弁論終結時を基準とする清算金の算定はその意味を失い、清算金請求権の成否及びその金額に関する前述した浮動状態には何らの変更も生じていないのである(上述した清算金請求権の特殊性に照らし、すでに発生している法定地上権の内容たる成立時の地代を定めることを目的とする地代確定訴訟の判決に関する最高裁昭和四〇年三月一九日判決・民集一九巻二号四七三頁は、本件には適切でない。)。

よつて、前記認定の四件の転付命令によつては、そこで被転付債権とされた控訴会社の被控訴人に対する差額清算金請求権合計金一六八〇万九九一七円なるものについて転付の効果は生じるに由ないものというべく、被控訴人の前記主張は採用できない。

6  次に、被控訴人主張の譲受債権による差額清算金請求権との相殺について検討する。

控訴会社が別表(八)中「債権者」欄記載の四名に対し、同表中「元金」、「弁済期日」、「損害金の割合」欄記載のとおりの元本合計金四二二二万九五七三円及びこれに対する遅延損害金債務を負担していたこと、右四名から昭和五一年三月五日到達の内容証明郵便によつて控訴会社に対し、被控訴人に右債権を譲渡した旨の通知がなされたこと、被控訴人が控訴会社に対し、同月六日到達の内容証明郵便によつて右譲受債権をもつて別表(八)記載の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の順序に従い、控訴会社が被控訴人に対して有する差額清算金請求権残額と順次対当額で相殺する旨の意思表示をなしたことはいずれも当事者間に争いがなく、〈証拠〉によれば、被控訴人が別表(八)中(イ)の債権を昭和五〇年五月二三日、(ロ)の債権を同年二月三日、(ハ)の債権を同年五月二六日、(ニ)の債権を同月二七日に同表記載の各債権者から譲り受けたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

一方、相殺の受働債権とされた控訴会社の清算金請求権については、右相殺の意思表示がなされる前の段階においては、依然成否未定の将来の債権にすぎなかつたといわざるをえないことは、前述したところから明らかである。しかし、すでに予約完結権を行使した被控訴人は、いつでも控訴会社に対しその時点における目的物件の適正評価額から被担保債権額を差引いた残額を清算金として提供し、その受領と引換えに目的物件についての本登記手続を求めることができるし、本登記の履行に先立つて清算金の支払をなすことをいとわなければ、その受領を求め、拒絶されたときは弁済供託をすることにより、目的物件の完全な所有権を取得し、控訴会社の受戻権を喪失せしめて換価、清算手続を結了することができる地位にある。そして、将来の債権ではあつても、右のように債務者の意思によりいつでもこれを現在化してその履行をなしうる関係にあるときは、少なくともそれが相殺に供しようとする自働債権の金額を上廻る場合でない限り、債務者において期限の利益を放棄しうる債権についてと同様に、即時履行をなしうべき債権として、これを相殺の受働債権とすることを妨げる理由はないものというべきであり(最高裁昭和五〇年九月九日判決・民集二九巻八号一二四九頁は、仮登記担保の目的物件につき後順位者がいない限り、被担保債権以外の債権を自働債権とする清算金支払債務との相殺を広く認める趣旨と解される。ちなみに、本件においては、かかる後順位権利者が存在することについての特段の主張はない。)、この場合には受働債権が現在化する相殺の意思表示の到達時点をもつて相殺適状時と解すべきである。

そこで右意思表示が控訴会社に到達した昭和五一年三月六日の時点における双方の債権額を検討するに、別紙物件目録(一)記載の土地の同日現在の時価は金九二九二万一〇八四円と認められることは前述したとおりであり、同日現在の本訴請求債権の額は、元金一四四〇万円と遅延損害金二〇七六万七〇五八円(昭和四七年一二月一日現在の前記相殺残金六七〇万三七三〇円に別表(九)中(4)欄記載の同月二日から昭和五一年三月六日までの損害金合計金一四〇六万三三二八円を加えたもの)との合計金三五一六万七〇五八円であるから、同日換価、清算を結了させることとした場合に被控訴人から控訴会社に支払うべき清算金の金額は、その差額金五七七五万四〇二六円となるところ、右同日現在の自働債権の額は別表(八)中「元利合計(2)」欄記載のとおりである(なお、同表中(イ)の債権についての遅延損害金計算の算式はによる。)から、これをもつて被控訴人主張の順序で右差額清算金と対当額で相殺を行うと、右差額清算金請求権は全額消滅し、自働債権中別表(八)の(イ)、(ロ)については元金及び遅延損害金の全額が、同(ハ)については遅延損害金のうち金一一五二万四三一七円が消滅することになる。

なお、被控訴人は、本訴において本登記手続を求めている全目的不動産の価額の割合に応じて本訴請求債権残額を按分したうえで算定されることを前提として、前記目録(一)記載の土地につき控訴会社に支払うべきこととなる清算金債務に対する相殺を主張しているが、本件においては右按分計算によることなく、右(一)記載の土地の価額から被担保債権全額を差引いた額をもつて清算金の額とすべきことは前叙のとおりであるところ、被控訴人の相殺の意思表示は、その前提とする清算金算定方法が採用されない場合に、右土地に関し被控訴人が控訴会社に対して負うこととなる清算金債務に対する相殺の意思も当然に含む趣旨と解される。

また、控訴会社は、訴外飯田春吉に対する合計金一一八万円の貸付金債権をもつて、被控訴人が同訴外人より譲り受けた控訴会社に対する債権(別表(八)の(ニ))との相殺を主張するが、右に説示したところから明らかなとおり右譲受債権は前記相殺にあたり相殺の用に供されていないのであるから、控訴会社の右相殺の主張はその成否を判断する必要がないというべきである。

四以上説示したところによれば、被控訴人は控訴会社に対しては、別紙物件目録(一)記載の土地について差額清算金支払義務を負わないことになるので無条件で右土地につき本件所有権移転仮登記の本登記手続を求めうべく、控訴人鈴木三郎、同鈴木三枝子に対しては、その請求する本登記手続を求めることは許されないものというべきである。

したがつて、控訴会社の本件控訴は理由がないのでこれを棄却すべく、被控訴人の控訴会社に対する附帯控訴及び請求の減縮(別紙物件目録(二)、(三)記載の各建物に対する請求部分)に基づき、原判決中被控訴人の控訴会社に対する請求に関する部分を主文第二項記載のとおり変更すべきであり、また控訴人鈴木三郎、同鈴木三枝子の本件各控訴は理由があるので、原判決中同控訴人らの敗訴部分を取消し、被控訴人の同控訴人らに対する請求をいずれも棄却すべきである。

よつて、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九二条本文、九四条後段を適用して主文のとおり判決する。

(室伏壮一郎 横山長 河本誠之)

別紙物件目録〈省略〉

別表(一)~(九)〈省略〉

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